第298章

島宮奈々未は首を振った。

「今はやめとく。取り調べが終わってからにする」

 ――余計な誤解を避けるためだ。

 野呂栞はここに勤めている。取調室に顔を出せば、栞が陰口を叩かれるかもしれない。

 野呂栞はすぐに察して言った。

「お姉ちゃん、じゃあ私の事務室でちょっと休んでて」

 島宮奈々未は、野呂栞の職場の事務室に入るのは初めてで、少し興味が湧いた。

「うん、見てみたい!」

 野呂栞の事務室は驚くほど簡素だった。机の上はぴかぴかに片づいていて、置いてあるのは小さなサボテンが一鉢だけ。

 ほかの女の子なら多肉だの花だのを育てそうなものなのに、栞はなぜかトゲだらけのサボテン。妙に彼...

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